ヤマドリタケモドキ2019まとめ

ヤマドリタケモドキの採取は今年で2年目。ログとして残しておきます。

 

 

6/23 今年の第1回目採集。いつもの小奇麗なポイントで幼菌ぽこぽこ。

 

小手調べに大きめで状態の良い3本を採取。虫は一切入っておらず。もう少し早い時期から出始めるのかもしれない。

6/24 この日は北部のH緑地へ。こんな感じで大きなポイントをいくつも日替わりで巡回。ここのヤマモは確か、馬鹿でかい個体が腐ってるのを見かけたくらいであまり多くはないんだったか、むしろ他のきのこが多いんじゃなかろうかという想像はおおよそ当たっていて、やはり巨大な腐ったヤマモを確認。

そしてどうもキタマゴタケの当たりの日だったようで、ちょうどいい感じのがたくさん収穫できた。ちなみにムラサキヤマドリタケのシロもここにあるのだが、この日は発生なし。

6/25 広大なメインポイントのうち南部のシロへ。毎年生えてすぐに馬鹿でかくなってタイミングを逸していたが、今回はベストタイミング。

超巨大個体の幼菌は、それだけで普通サイズの成菌クラス。全部で750g近い。もちろん虫はなし。

6/26 今度はメインポイント外周部のシロへ。ここは数が少なめで見つけにくいのが欠点で、しかも落ち葉多めのため虫に先を越されやすい。しかし、ここもほぼベスト。落ち葉が多いと柄が長くなって、虫に先んじることさえできればお得っちゃお得・・・そーでもないか、クソでかくなるヤマモの生える場所を把握しておいてベストタイミングに収穫するのが一番だわ。

6/29 憂さんをお誘いしてヤマモ採集。メインポイント北部と、B公園、H緑地へ足を延ばした。ここんとこ雨が降り続いており、新規でヤマモがたくさん出ていた。それなりの量を持ち帰っていただけて一安心。
ついでにキタマゴタケをいくらかと、ムラサキヤマドリタケを1本だけ確保。犬のうんこ踏ませたナラタケモドキへのヘイトが高まっていく↑↑↑↑↑

6/30 前日に引き続き、ぺろっぷさんと冷たちさんをお誘いしてヤマモ採集。今回はメインポイント中心の探索、加えてB公園。3人寄ればなんとやら、目が増えるとやはり効率が上がるようで、前日憂さんと探した時に見逃していた巨大幼菌が多数。これなら翌日のことなんか気にせずもう少し憂さんに収穫してもらえばよかったか。
あと、きのこが好きな地元の大学生さんにエンカウント。SSR級では。しばし同行。
ちなみに、昨日今日と見つけたヤマモ?のうち針葉樹の下に出るものが混ざっていたのですが、後にススケヤマドリタケと判明。ホストはヒマラヤスギ。食べられる種類だからよかったものの、ちょっとガバガバ過ぎたかも・・・反省。
まあでも結果的に採集範囲がものすごく拡大した。あそことかあそことか、とかとか、ヒマラヤスギが生えてる場所は覚えがありすぎる。

夜はみんなで下処理、調理。ヤマモ尽くしのディナー。

7/4 去年は7月に入って忘れたころに干からびたヤマモを見つけていたのを思い出し、今年はコンスタントに巡回をすることに。出てる出てる。また良質じゃないですか。少量採取。

7/6 時間が確保できたのでメインポイントに出撃。見た目はばっちりだが、どうにも柄がスカスカのものが多い。これはどこのシロでも共通で、梅雨明けから盛夏にかけて生える個体は速攻で虫にやられるようだ。

7/7 本来は淡水貝の採取に連れてってもらう予定だったが、悪天候のため中止に。それならばと急きょ玉置さんとのんさんをお連れしてヤマモ採集会。
出始めでちょーっと小さい幼菌多めだったが、十分な収穫を得ることができた。昼過ぎには切り上げてお料理。
・・・およ?全然写真撮ってなかったな、珍しい。

7/8 仕事上がりにヒマラヤスギを求めて某施設の偵察に。記憶の通り見事なヒマラヤスギの林。そしてこれまた大量に発生しているススケヤマドリタケ。ぶっちゃけると、この時点ではまだ確信してなかった。

6/30のときはヤマモだとばかり思っていたが、さすがに環境おかしくね???となって眺めまわした結果、ススケヤマドリタケに落ち着いた。施設の別の場所では本家ヤマモを確保し、現物同士を比べるにつけ改めて違いを認識。

奥まった場所にはムラヤマが。ベストタイミングだったようで、完璧な状態の大きい個体をいくつも収穫できた。

7/9 またまた仕事上がり、毎晩夜更かししてきのこ狩り。北部のH緑地はこの日もキタマゴタケがたくさん。他にもアメリカウラベニイロガワリ近縁種が生えていた。関東にはアメリカウラベニイロガワリは生えないらしいので、これはオオウラベニイロガワリだろうか。しばらく検索してみて同じ特徴を持つものに有毒なものが見つからなかったので、試すべく持ち帰ることに。

収穫。ムラヤマもいつものシロと周辺にいくつか生えていた。でっかいのは管口も既に黄色いものの意外に身の締まった良品。

ウラベニさんは切ると青変、加熱すると元に戻る。味・食感ともにエリンギに近い感じ。エリンギよりも素直な味で個人的にはこっちの方が好み。

ちなみに、巷で謎イグチと称されてるものに似たイグチも現地で違いを認識して1本だけ持ち帰ってみた。青変性はウラベニさんよりも弱く、管口は明らかに黄色。柄も赤い細粒点ではなくワインレッドと黄色のグラデーション。アシベニイグチではなさそうだが、非常に薄い菅口はその近縁種を思わせるといったところ・・・どっちにしても手を出すべきじゃなさそう。現場だと意外に紛らわしいので注意しないと。

7/16 オフ貝の翌日。普通に出社で疲れなんか取れちゃいないものの、様子見にH緑地へ。ちょぼちょぼとキタマゴタケが生えているので集めては処理し冷凍の繰り返し。ヤマモはなし。

7/17 職場にヒマラヤスギが生えていたのを思い出して出撃。予想通りススケの大群生に遭遇して小躍り。ただ一歩遅かったようで、虫にやられて柄がスカスカになった個体が多めだった。

いい眺め。タイミングが合っていればもっと採れたか。

ここではハラタケの類も散見。いつか無印のハラタケをたくさん収穫してツクリタケ(=マッシュルーム)の代わりに使ってみたい・・・密かな目標。牧場とか行かないとだめかな。やたらと傘が薄いし小型なのでこいつはハラタケではなさそう。

状態の良いススケを採取できたので、本家ヤマモとの味比べ。シンプルにバターソテー。生の時の菌臭?が若干ススケの方が強めで苦手みがあるが、ソテーするとヤマモと同じに・・・というか全く一緒。産地にもよるらしくて、てーぼーさんはススケ<ヤマモという意見。こちらのはヤマモと同等なので非常に良き。単なるバカ舌かもしれないけど。

 

7/23 この日も仕事上がりにメインポイントをチェック。またしても良質な波が来ていたので採取。

7/24 翌日も某施設にススケ狙いで出撃。爆湧きも爆湧きで、持参したビニール袋に入りきらないほどの大収穫。優秀なシロだー。

他にもアンズタケsp.が出ていた。杏子の香りはしていたが、ちょっと自信がなかったので、断面や香り、表面の大まかな特徴を確認し廃棄。上のは多分オニタケ。

ここから8月の間は収穫を期待できるような発生を確認できなかった。セオリー通り。

9/2 前日に江の島の海で泳いでへとへとだったが、仕事上がりにメインポイントを探索。またしても爆湧きしていた。大収穫!
驚いたことに、ムラヤマもそこかしこで散発的に見かけた。ちょっと小型のものが多いが・・・それでもこれだけあれば十分。
さすがにスライスして干物にする元気はなかったので、冷凍庫にダンクシュート。
虫食い多めのフレッシュをいくらか取り分けてスクランブルエッグに。約束されたうまみ。最の高。

干からびたヤナギマツタケも見つけた。来年は収穫したいところ。

9/3 翌日もB公園で採取。それにしても、去年B公園で腐ったヤマモを見かけた場所は今年のとは全然違う場所なんだけど、なんで生えないんだろう・・・?
この日も職場、メインポイントでムラヤマをちょぼちょぼと収穫。良き。
なお、ヤマモの大発生に際してススケの発生も期待していたが、結局出てくれなかった。初夏だけの発生で、秋は出ないのだろうか。

虫食い多めの部位をスクランブルエッグに。これまた約束された旨味。

9/4 さらにH緑地と周辺を探索。いくらかヤマモと、期待通りキタマゴタケを収穫。うーん、量的にはそろそろこの波の収穫は一段落。

9/20 会社のイベントが終わって午後遅くにメインポイントを見に行ったところ、ヤマモが爆湧き。しかも超良い状態。取り急ぎ収穫。

この日はB公園の、去年から目をつけていたポイントでもようやく発生を確認することができた。予想通りものすごい巨大になりそうなヤマモの幼菌が大量。すっげえ。

処理が大変だけど虫食いがほぼないから見た目ほどの作業量でもない。ばちくそ嬉しいやつ。

10月はヤマモの発生が一段落して他のアクティビティが増えてたのでもしかしたら見逃しがあるかもしれないが、記憶の限りだと収穫できるような発生は無し。割と早く冷え込んだんだっけか。

11/6 そんなこんなでもう今シーズンは終わりくらいに考えていたので、ムラサキシメジやハツタケのポイント開拓に勤しみつつ某施設を流すと、まさかのススケの発生に遭遇・・・もう終わったとばかり思っていた。とはいえ一歩遅かったようで、良品は少なめ。

そのまま朝食に収穫したススケを全投入したパスタを錬成。久々のフレッシュ使用パスタでしたとさ。

さて、待ってた人いるのか知りませんがここらからようやく考察パートです。まずは5月から11月までの気温の判読と考察。

最低気温が15℃以上で推移し始めた6月上旬から発生が始まっている。そして8月の発生休止期間だが、7月下旬から8月下旬にかけて最低気温が25℃を超えている。最高気温も30℃以上か?こちらは振れ幅が大きいからあまりあてにならないか。
8月下旬以降はまた最低気温が25℃を下回って発生が再開っと。ざっくりイメージ通りの展開。
しかしそうするとイマイチ当てはまらないのが11/6のススケ。10月の中旬くらいからは最低気温が15℃を下回って発生しなくなるはずだが、ここだけ飛んでいる。まあやや古い個体だったので、10月の終わりにギリギリ発生したものがゆっくり成長しつつ干からびかけていて、それを捕捉したということだろうか。
・・・そもそもヤマモとススケは一応別種なんだから一緒くたにしちゃいかんのですが。

続いて発生のトリガである降水量の判読と考察。最初の発生はおそらく6/10の雨。次に7/4、この日は既に幼菌多数だったので発生自体はもう少し前からか?ここらから他のイグチが猛烈に発生を始めている。さらに7/14の雨、ここでススケの大発生。この雨が翌週くらいまでの継続的な発生につながった感じ。
休止期間の8月は、上旬は降水ゼロ・・・もしかしたら気温だけでなくこれも良くなかったのかもしれない。下旬からは少ないながら一定した降水があり、気温の方も最低気温が25℃を下回ってきている。どこかの大雨をトリガにしたというよりは、8月下旬の雨を糧にゆっくり成長した結果が9月頭の大発生という感じ。
そして気になるのがB公園で9/20に爆湧きした個体群。9月中旬は雨が少なめだったので何をトリガに出てきたのか。それに6-7月は全然発生しなかったが、なぜなのか。去年は7月以前はこの公園に採りに来てなかったので分からないが、腐った個体を見たのは8月後半以降だったように思う。秋しか出ない系統でもあるのだろうか。
10月は9月よりもはるかに降水が多くなるものの発生はほぼなし。最低気温の推移の判読とも合致している。

以上のまとめです。まずは新しく分かったこと。
・気温と降水
アミガサタケで考えたロジックは、ほぼそのままヤマドリタケモドキにも当てはめることができる。ただし、ヤマモの場合は秋にも発生があることに注意。アミガサタケも秋に出るという記載をどっかで見たことがあるが・・・むしろその方が自然に理解出来るが・・・。あと、下手すりゃ雨が降ってなくても発生してる可能性はあるので週1で巡回した方がよさそう。
発生を予測できるようになると大きなメリットがあって、落ち葉が多い場所のヤマモを虫から奪い取れるようになる。少しでも遅いと穴だらけでナメクジの這い跡まみれ、原型さえとどめていないような個体はさすがに食指が伸びない。落ち葉ゾーンをシロとするなら発生を確実に捉えたい。

・発生時期
上述の条件を満たしていれば発生するのかといえばそうでもない。特に秋はもっと発生してもよさそうなのに割と早めに終了した印象。アミガサタケが秋にほぼ生えないという事実に対応する部分なのかもしれない。梅雨と秋で何が違うのだろうか。

・時期による虫食いの差
梅雨の初期に発生する個体は虫食いがほぼない。それに対し盛夏に発生する個体は虫食いがひどいことが多い。見た目大丈夫そうであっても柄がスカスカなんてことはザラだった。真夏は特にマメに巡回した方がいいかもしれない。なお、秋の個体の虫食いはピンキリだったので保留・・・シーズン最後のヤマモ(11月のススケじゃない)はまっさらで虫ゼロだったので、真夏に比べればマシそうだ。

・個体群による個性
どうやら秋にしか出ない個体群が存在している模様。来年も同じ傾向なら間違いなさそう。これはシロの巡回経路の最適化という観点から非常に重要な情報。ヤマモ(広義)だし、発生時期の限られる別種が混ざってるのかな。

・刈り払いとの関係
これは要するに下草が多すぎると生えないよってことに帰着するのだが、下草が多い場所でも時期次第ではシロになる可能性を秘めているという点が重要。メインポイント外周では6月に発生を見たが、それ以降は笹と葛が生い茂ってしまい収穫できなかった。夏の間何度か刈り払いがあったが、すぐに下生えに覆われてしまうという状況。猛烈な下生えさえなければ好適な環境ではある。こればっかりは僕らが制御できない領分ではあるが、秋口から冬にかけて刈り払いが行われる場所なら初夏に限って収穫が得られることが分かった。これからヤマモを探したい方にとっては新たな指針になるし、僕としても来年以降のシロの巡回経路の最適化につながる。

・下生えの種類
シロツメクサやアカツメクサが大量に生えている場所では、ホストとなる木が同じように生えていてもヤマモの発生を確認できていない。ある植物が他の植物や微生物の成長を抑える物質(アレロケミカル)を放出することがあり、これをアレロパシーと呼ぶが、もしかしたらそれなのかもしれない。つまるところ他の植物や菌類との競争に負けてしまう場所なのだということは分かる。

次に、なんとなく分かってたけど改めて認識したこと。
・樹種
その辺をちょっと歩けば採れるので必死になって探す必要もなく、必然的にログパートで樹種に注目することは皆無。ただ今年はちょいちょいどんぐりのお勉強を挟んでいたので、多少は考察のネタも出せる。まず、ほぼ必ずシラカシが近くにあった。そして、マテバシイの下では間違いなく一切見かけなかった。クヌギ、コナラに関してはよく分からないが、記憶にないからこれらの下には出てなかったように思う。
ススケヤマドリタケは別種なので厳密には考察の対象外だが、同等の味わいで量も得られるのでついでに。これはヒマラヤスギの下でしか見かけていない。同じマツ科のアカマツならそれなりに他の場所に植わってるが、やっぱり生えない。ヒマラヤスギばかり見てたからだろうか・・・来年はススケが出たら松林にも行ってみようか。

・日当たりの良さとシロの位置
やっぱり日当たりはそこそこないといけないようで、例えば交差点があって四方に林がある場合、交差点の周りに生えているケースが多かった。あとは道路沿い。林の奥にも出ないことはないが、あまり多くはない(というか林の奥の個体は虫食いがひどいことが多い)。

以上、拙いながらまとめてみました。来年以降に活かせそうな情報がたくさん得られて非常に良きでした。今年はススケの発生タイミングを読み誤ったのと発生候補地が広大かつ多過ぎてシロを開拓しきれなかったので、来年のススケ大発生の際はめっちゃ忙しく駆け回ることになりそうです。大変そうだけど・・・楽しみ。

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