キタマゴタケとタマゴタケモドキ?を間違えかけた話

タイトルの通りです。僕はキタマゴタケをもりもり食べてますが、安易な利用は推奨されません。

 

タマゴタケ

タマゴタケといえば、真っ赤な傘、黄色と橙色のだんだら模様の柄、真っ白なツボと派手な見た目でとても美味しいきのこ。深い山に生えるのは別種では?など言い出したらきりのない部分を除けば、ものすごく同定が簡単で安全なきのこだと思っています。これからきのこを始めたい!って方が真っ先にここにたどり着く可能性は低いと思いますが、もしそう思ってここに来たのであれば、ほんとタマゴタケみたいな派手なやつから始めることをお勧めします。わざわざ「分かりやすい特徴」に乏しい地味な種類から始める必要ないでしょ?
当記事ではタマゴタケの近縁種であるキタマゴタケと、採取の経験について語ってみます。

キタマゴタケ

キタマゴタケは昔はタマゴタケの亜種だと言われていましたが、今は別種として扱われています。その名の通り全体が鮮黄色で、タマゴタケの赤と橙を黄色で置き換えたものと思えば大体合っています。味もタマゴタケと同じです。

冒頭にも書いた通り、キタマゴタケを安易にタマゴタケの代わりに食べるのは推奨されません。なぜなら、似ているものに致死的な猛毒種があるからです。タマゴタケモドキといい、こちらも黄色いテングタケ科のきのこです。間違えたら死ぬような種類と紛らわしいのは精神衛生上よろしくないですよね。旨いもんも旨くなくなってしまいます。

キタマゴタケのバターソテー
実際、初めて食べたときは同定に自信があってもものすごく怖かったです。
でも僕はきっちり同定した上で美味しく食べます。だって普段の行動範囲にノーマルのタマゴタケ全然生えてないんだもん。

同定のポイントは3か所。

キタマゴタケの傘の条線

傘の縁部に明瞭な条線があること。ただし幼菌では目立たないので要注意です。

キタマゴタケのひだ

ひだが黄色いこと。白っぽいとか余計な枕詞はいりません。黄色です。
これも幼菌だと割らないと確認できないので、割りたくないなど謎のプライドがある場合はやめておきましょう。

キタマゴタケのつば

つばが黄色いこと。他の種の所謂「消失しやすいつば」や「痕跡的なつば」にくらべれば丈夫なつばですが、それでも柔らかく壊れやすいので、無くなっていたら注意。

キタマゴタケの柄の断面

その他、柄は中空です。

キタマゴタケのつぼ

つぼは白色。

とにかく1箇所でも違和感を感じたらアウトで。今のところはないようですが、ごく近縁でキタマゴタケによく似ており、つばだけは白色で有毒、なんてのが出てきたらやばいですし。別にテングタケ科に限らず食べるきのこの同定は慎重に行うべきですが、特にテングタケ科は猛毒のものが多いのでアウト判定多めでちょうどいいくらいじゃないでしょうか。

まあこれだけだと簡単なように思われますが、実地では「美味しいきのこを自分で見つけたことへの興奮」「同一種内の個体差」なんかが加わってくるわけです。実地での経験は大事だなということを、以下の体験で身に染みて実感させられました。

キタマゴタケ・・・に見えますね。1個だけ仲間はずれが混じっています。このアングルの写真だけで分かる人は相当な猛者ですね。

はい。ひだが純白のが1個混じっていやがりました。上でひだの色について書きましたが、怪しいやつのひだは「黄色みがかっている」のではなく基本的に純白です。もちろん後天的な変色や劣化で黄ばんでくることもありますが、キタマゴタケのように全体均一に黄色なのとはそりゃあだいぶ違いますよね。
この1個だけは別の場所に生えていたもので、直前のキタマゴタケ初遭遇の興奮もあって同定がザルになっていたのでしょう。というかこの時点ではタマゴタケモドキの可能性を認識しつつ、それらの判別は帰宅してから練習がてらでもいいかと考えていたのでした。

間違えて死なないように帰宅後に図鑑と照らし合わせ、頭からお尻の毛の本数までチェック。穴が開くほど見るまでもなくひだの色が全く異なるではないですか。おいおい。ここでチェックかけてたからよかったものの、そのまま食べてたら間違いなく・・・。

実のところ、これがタマゴタケモドキだったかどうかも不明です。図鑑を見るとどちらかといえば北方系の種のようですし、つばが残ってないので何とも言えません。もっと言えばつぼの有無を確認していないという。ここまでくると科レベルから疑わしい・・・。

傘の縁に条線があるような気がしますが、しわが寄ったような感じだしさすがにこれは気のせいか。

そんなわけで、
・食べるためのきのこ採取は、現地で断定できるくらいの知識をもって臨む。
・わからないものは採らない。ちょっとでも違和感を感じたらスルーする。
・わからないものを採る場合は、観察用と割り切る(入れ物も分けるのがベストですね)。
・ある個体群から離れた位置に生えているものは別種とさえ考えること。

3番目は採るんじゃないよとの声を頂戴しそうですが、写真だけで同定することの難しさは皆さんよくご存じのことと思います。せっかく出会えたよく分らんけど特徴ははっきりしたきのこ、持ち帰ってとっくり眺めて、同定出来たら勝ちじゃないですか。ほとんどの場合分らなくて捨てるんですが。
4番目はまあ、狭い範囲に別種が混在していることもあり得ないわけじゃないですが、離れた位置ならなおのこと警戒すべきですね。実際今回間違えかけたわけですし。

キタマゴタケのオムレツ

キタマゴタケのマリネ

キタマゴタケのアヒージョ


この経験を通してめっちゃ疑り深くなったので、むしろ安心してキタマゴタケを利用できるようになったのでした。今500gくらい冷凍でストックしています。浴びたい。

ところで、ノーマルのタマゴタケがその辺に見当たらない問題について。確かに「その辺」=街中にはあまりないはずで、今までタマゴタケを見かけたのはやぶ蚊の猛攻すさまじい林や山の斜面などでした。キタマゴタケはむしろ街中、公園の芝生(どんぐりの木がそばにある?)や、林の中でも落ち葉も少ないようなとこなど、ある種こざっぱりした環境で見かけるような気がします。僕自身蚊の大群との戦闘ややぶ漕ぎが大嫌いなので無意識にそういう環境を避けてきた結果、見かけるのがキタマゴタケだけになっているのでしょうか。生息環境がここまで違うなら確かに亜種じゃなくて別種になるのも納得です(混生を確認したとの話も聞いていますが)。

キタマゴタケについて語ってみました。確かに間違えたら死なんですが、ウラベニホテイシメジとかホンシメジとかナラタケ類とかクリタケとか、とかとか、そこらの地味な種類に比べたらまだ良心的じゃないでしょうか?こんな真っ黄色のテングタケ科、他にはタマゴタケモドキくらいしか思いつかないぞと絞り込めるだけでも神ですよ。安易に奨めることはできませんが、僕はこれからも気を付けて楽しんでいきたいと思います。