アミガサタケ2024まとめ

今年もアミガサタケを無事収穫できたのでまとめます。

 

 

良さげなイチョウポイントもそこまで多くない地元、かつブラックモレルは東日本では少ないらしいという情報から、例年一応はブラックを探しつつもほぼイエロー狙い専門で動いてきました。そんなわけで、特にここ1-2年はブラックが生え始めると想定される時期になってもだらだらしていて、イエローのシーズンに入ってから行動を開始していたのでした。

4/5

アミガサタケ2024初物

今年もイエロー生えちゃったよ・・・。しかもなんか既に若干古びてきているような?

こんなんじゃいつまでたってもブラックには出会えないであろうことは想像に難くないですが、今回はいつもとは一味違いました。都内や西日本でも何やらブラックの発生が長引いているようなのです。確かに今年は暖かくなるのがやや遅れ気味ではありましたね。

3月の最低気温の推移
3月の降水量の推移
3月の最低気温と降水量の推移

 

4月の最低気温の推移
4月の降水量の推移
4月の最低気温と降水量の推移

バッチリ約1週間前から最低気温5℃前後推移・・・というかすっ飛ばして6℃以上になってます?

2021年のまとめ記事は作成していませんが当時の記録は残していて、実はこの時もこういう極端な気温の推移に困っていました。そこで今年からは移動平均線を追加して高温低温の振れ幅をある程度フィッティングした最低気温の曲線をプロットしたグラフを作ってみました。移動平均は区間の取り方で結果が大きく変わるので、最適な区間を決定する方法を以下の通り考案してみました。
・観測日を中心に前後n日の区間で最低気温の算術平均を算出(n=1~9)、ただし移動平均の定義上データの端については計算できないので、対象外とする
・観測日(対象期間は2024/2/28-4/30)ごとに上記平均値を算出し、n=1~9の移動平均データセットをそれぞれ作成
・n=1~9の移動平均データセットそれぞれについて最低気温の残差からカイ2乗和を算出
・nが小さい時のフィッティングは採用せず、カイ2乗がある程度サチるくらいnが大きく、かつカイ2乗和がなるべく小さいフィッティングを採用する
カイ2乗和はnが大きくなると移動平均によるフィッティングが悪くなるため次第に大きくなる。ただしnが小さいと飛び値に引きずられてしまい見かけ上フィッティングが良くなっているだけであるため、nが小さい時のフィッティングは採用しません。

移動平均の区間を変化させてフィットした時のカイ2乗和の変化

移動平均の区間を変化させてフィットした時のカイ2乗和の変化

こんな感じ。今回は移動平均区間9日のフィッティングがもっともらしそうです。ちなみにこのやり方では移動平均の区間が3,5,・・・,19日など奇数になり偶数が採用できないのですが、めんどいので偶数は非対応で。そのうち偶数でも移動平均できるようにはしたいな・・・別に難しくはないんですが。
ちなみにちなみにこのやり方で他の年のデータのフィッティングもしてみましたが、大体移動平均9日くらいが良いという結果になります。実はやり方に問題があるのか、あるいは最低気温の変動スパン的にちょうど良いのか。

で、なんでこんな面倒なことやり出したのかといえば、2019, 2020年のシーズンに発生時期と最低気温の関係を推定した際に出てきた【最低気温が5℃以上の暖かい日が4, 5日続き、かつ一定以上の降水があると発生する】という条件が妥当なのかを見てみたかったんですよね。以前は目でグラフを見てなんとなく極端な推移の振れ幅を考慮して判断していたので、この部分をもう少し詰めて、「何となく」を減らしたいなと。

最低気温の観測値と9日移動平均線

最低気温の観測値と9日移動平均線

最低気温の推移に9日の移動平均線を追加したグラフ。エラーバーは一応白金温度計の仕様を見て付加しましたが、精度良いので要らんくらいですね。まあ趣味の範疇です。
今年は観測値ベースでいうと3/29以降一気に暖かくなって、前述の条件=5℃前後を飛び越えています。これだけ見ていると3/29から5日後くらいに発生するのではと判断したくなり、実際には7日後の4/5に発生を確認しています。しかし見つけた子実体が既に若干古びていたこと、前日の時点で既にtwitterで近隣の発生確認情報があったこと、加えて3/25, 26, 29と比較的まとまった量の雨が降っていることから、実はもう少し早い3/29-31くらいには発生が始まっていたのではないかなと「何となく」予想しました。

作成した9日移動平均線に注目すると、3/26くらいには5℃前後に到達して推移しています。そこから5日後が3/31なので、「何となく」の予想とも整合します。まあ手法としては悪くないんじゃないでしょうか。【最低気温が5℃以上の暖かい日が4, 5日続き、かつ一定以上の降水があると発生する】という予想も大きくは間違っていないかもしれません、と「何となく」を多少なりとも排除して述べることができるようになりました。
ただし欠点もあって、例えば9日移動平均ならばある日の正確な移動平均の値を計算するのに追加で4日後までの記録が必要になりタイムラグが生じてしまいます。この手法を使うなら、数日のタイムラグを意識して早め早めに動く必要がありそうです。

余談ですが、色々と作図している中、アミガサタケを栽培している方が地温の積算が大事という趣旨のツイートをされているのを見つけました。地温は測定データがなかなか転がっていないので、自分で測定するか、これまでのように気温から推定するしかないかなーと思いつつ、地温と気温の関係について軽く調べてみたところ

https://core.ac.uk/download/pdf/16385038.pdf

同一時刻同一地点における気温〜地温の垂直分布を年間にわたって調査した研究がヒット。これによれば、アミガサタケの発生に関係する3月〜4月について、地上150cm(気象庁や百葉箱の観測位置)と地下5cmくらいまでの地温には大きな差がなさそうでした。簡易的に気温の積算値を参考とすることができそうです。
面白そうですが流石に長くなり過ぎてしまうので別記事に譲るとして、発生記録のお話を再開します。

4/6
この時期としては雨も多めでイエローの発生にも期待できたのでさあ本格的に探しにいきましょうというところで、ともさんからのお誘いもあり、地元で山菜探しついでにいくつか良さげなポイントを巡回してみることに。

山菜7割メインくらいのつもりで移動中に数本イチョウが植った区画を見つけたので、ついでにチェックしに行きました。本当に何の期待もしていなかったのですが・・・。

まさかの発見。こんな雑に見つかるんかい・・・笑 発生が長引いているとはいえ終盤にあることは間違いなく、現に立派なこの1本以外に血眼になって探しても腐って倒れたもう1本しか見つけられませんでした。

今回のデータだけでは地元での発生する気温条件の絞り込みには不十分ですが、確実に発生するシロを見つけたことで来年以降検証できるようになりましたね。イエローよりも1ヶ月早くシーズン入りするという定説から考えて、2月終わりから3月頭にかけて頻繁にチェックしに行くのがよさそうです。

なお、発生する場所の条件についてはかなり重要な情報が得られました。ブラックモレルにはいくつか種類があって、焼け跡を好むタイプ、コンクリートを好むタイプなどがありますが、今回のはコンクリート際だけから生えていたことから間違いなく後者でしたね。環境もかなり日陰がちでじめっとしており、腐植質でふかふかとした場所でした。イエローはもう少しカラッとした場所でも生えるあたり、よりシビアな気がします。

この発見に気を良くして木端なイチョウポイント含めしつこくチェックしてまわりましたが、残念ながら今のところ他では見つけられていません。もっと大規模なシロを確保したいところですが・・・orz あと今回のような典型的なものだけでなく、擁壁の直下や側溝に溜まった腐植質から発生するケースもあるようなので、これらも視野に入れて探索をしていけたらと思います。

アミガサタケ

この日は別の場所で小さいイエローを1本だけ見つけた

 

トガリアミガサタケのバターソテー

味見でバターソテーに

相変わらず味音痴のためイエローと比べて特段美味いかと言われると別にそうでもなくね?という感想でしたが、しっかり美味いことには変わりありません。味よりもそのデカさがイエローに対する優位点かなと思います。

4/10

アミガサタケ
アミガサタケ
アミガサタケ
大きくなってきましたがまだまだ。翌週にかけて最盛期といったところでしょうか。

 

4/11
ブラックを真面目に探したくなったので、昼休みにイチョウを探してドライブ。すぐ近くに見落としていたイチョウを見つけたのでチェック・・・残念ながらブラックは生えていませんでしたが

アミガサタケ

ちびっこいアミガサタケが6, 7本。新規開拓成功^^

本命ではなかったにしろ嬉しい成果です。この調子でもっとシロを増やせたらいいな。

4/13

アミガサタケ、ウメハルシメジ、タラノキ、ウコギ、ウド、コゴミ、ハルジオン

まずまず成長してきたところで職場のシロで収穫

前述の通りシーズン前の雨が比較的多かったので期待していましたが・・・思ったほどではないですね〜・・・。メインのシロも律儀に出てきてくれちゃいますが発生範囲はちょっと狭め。不発のシロも多い状況です。難しいなぁ・・・。ただ単に雨が多いだけじゃダメで、もっとピンポイントに雨が必要な時期があるのかな。もしくは雨が多過ぎるのも良くないのか。夏のきのこなんかは雨の多寡が露骨に収量に直結するだけに意外です。

ウメハルシメジ
ウメハルシメジ
この日はウメハルシメジも少量発生していたので、山菜共々採取してきました。ピークでも20本はいかない程度なので、もっとたくさん生えるシロを確保したいところです。普通に美味しいですし。

 

4/16
何年か前に爆湧きしてるのに遭遇して以来通うも鳴かず飛ばずだったサブのシロのチェック。実は4/6にも軽くチェックしてはいたのですが、この時はすっからかんだったので今年も不発かと思っていましたが・・・。

アミガサタケ
アミガサタケ
とんでもない爆湧き。あの時の再来です。

最盛期直前といったところでしょうか。あともう少しだけ大きくなるのを待ちたいかな?それはそれとして食べごろもかなり混じっていたのと、今後雨があまり降らなさそうな見通しだったため、ある程度収穫しておきました。80本近く・・・ちゃんとベビーや古くなってそうなのは残してこの数。大収穫^^
いくらかはお裾分けしときました。美味しいお料理になぁれ!

アミガサタケと鶏肉のフリカッセ

もちろんうちでも美味しく頂きます

定番のフリカッセですが、今回は少しだけ調理法を変えています。去年あたりきのこの火の通し方がTwitterで流れてきて積極的に実践していたのですが、これをアミガサタケに適用。10分程度弱火でじっくりと動かさず加熱して水分を飛ばし、次いで中火くらいで焼き目をつけるやり方で、これをやると旨味香り共にブーストがかかるのです。まーーー香りが分かりやすくなったこと。

アミガサタケって確かに美味しいんですが、個人的にはヤマモやコウタケほど暴力的でもないなと思っていて、良く言えば優しい味、悪くいうなら味が薄い(これ言うとプロには怒られちゃうかもですが^^;)よなと。今回の調理で相当分かりやすく美味しくなった気がします。ソースが・・・すごいナッティーなんですよ。

あと食感もちょっと良くなった気がしましてね、普通に火を通すとなんだかビニールを噛んでるような感じで正直あまり食感は良くないなと思ってたんですが、よく水分を飛ばしたのが良かったのか、ムチっとシコシコな食感に変わってくれました。これ!これを求めてたんだ・・・!

オリーブオイルソテーと卵乗せるやつ

オリーブオイルソテーと卵乗せるやつも

Twitterでトミーさんがやってたやつもお試し。ぺぺ丼風ですね。奥さんがニンニク苦手なので気持ち程度に変更。加熱は前述のじっくりに変更。こちらもバカうまです^^

4/18
お外のシロのチェックです。今年新規開拓したシロは、時間が経ってもそこまで大発生はしていないようで、どうやら規模が小さめの模様・・・まあそんなもんですよね。職場のシロと外部のサブシロが爆湧きし過ぎで麻痺しちゃってますw 3本だけ食べ頃だったので収穫。

4/19
今年のアミガサタケ発生も雨がなければそろそろ終盤。新規はもうほぼほぼ無いものとみて、以前見逃して今回大きくなったものを回収しに行きます。職場のシロは・・・メインのとこは残骸がいくらかあるだけで多分終了。最近ちょっと衰退してそうな感じで終わるのが早いように感じます。気のせいかな・・・あまり生えてくれないエリアに向かってシロ全体が移動しているので、このまま消滅しないといいな・・・。
職場には他にも2箇所大規模なシロがあるのですが、どちらも不発。数年おきの発生を待たなければいけないようです。

外部のサブシロでアミガサタケを収穫

次いで外部のサブシロのチェック

前回に加えてしっかり新しく発生して大きくなってくれてたようで、またしても大収穫です。またまたお裾分けで発送。

アミガサタケを干物に加工

アミガサタケを干物に加工

フレッシュでいくらか楽しんで、残りは干物に。一通り発生した後は良くも悪くも晴天続きで天日干しが捗りました。いやー楽しかった。

〜番外編〜

4/20
職場のシロの発生は終わりですが、山菜はむしろ今がピーク。休みの日に来ると山菜のライバルがちらほらいます。タラノキなんかはあまりに競争が激しくてありつけないので

アマドコロ

やっぱりアマドコロに逃げちゃいます。この時期になるともうこのように大きくなってしまうものだと思っていましたが

 

アマドコロ、ウドの新芽

終わってみればこの収量。どうやら職場のアマドコロは落ち葉が分厚く堆積したとこに生えるので、顔を出すのに時間がかかって収穫時期がややズレるのと、セルフ軟白栽培みたいになって可食部が大きくなるようです。ウドの新芽とあわせて良き!!

 

アマドコロは今回は思いつかなかったのでさっさと茹でていつも通り味噌やらマヨネーズやらで食べたので写真も無いですが、来年は卵と一緒に炒めたり、ウコギ風に混ぜご飯も良さそうです。

ウドと豚こまの味噌マヨ炒め

ウドは少し試行錯誤して豚こまと味噌マヨ炒めに。これは正解ですね!

〜番外編終わり〜

4/22

アミガサタケが生えるこの時期は湿気も虫も少ないので一度生えたきのこが長めに残存する傾向にあります。これを利用して、今シーズンは完全に終わったものとしつつもいくらか新規開拓をしていきます。この日はブラックモレルを見つけてあったポイントのさらに奥地のチェック。

オオアマナの大群生
オオアマナの大群生
オオアマナの大群生。最近認識した植物です。綺麗だけど駆除対象なんだとか。

奥の方にはブラックは生えていませんでしたが、イエローモレルが少し生えていました。シーズン終わりでもそこそこ見つかったので、ハイシーズンならもっと生えているかもしれません。ブラックにしてもオフシーズンなだけで、可能性はビシビシ感じる良いポイントでした。

4/23
今年は発生期間が長そうなので、新規開拓には好都合とみて4/6に初めてブラックを見つけたのと同じようなポイントを引き続き探してまわっています。夕方の探索で暗かったので写真は撮っていませんが、イエローが生えているのを確認。こんなポンポン見つかるものでしたっけw

4/24

終わりかけのアミガサタケ

終わりかけであるけどイエロー

この日はイチョウポイント3箇所を新規開拓。うち2箇所は思いの外地面が硬そうだったり日当たりが良さそうで微妙でしたが、竹林脇でかなり日陰がちなイチョウ樹下1箇所でイエローの発生を確認。ブラックは生えていませんでしたが、期待値も大です。

4/25

この日も2箇所で新規開拓。イチョウの下が日陰がちで良さそうですが、流石にブラックは終わりかな・・・?

トガリアミガサタケの残骸

残骸だけど多分ブラック!

生えている環境、柄の色合い、傘?部分の黒さ、全体的なサイズ感から総合的にブラックでよさそうです。今年は本当に発生が長引いているようでありがたいです。

ブラックモレル2箇所、イエローモレル4箇所を開拓でき、既存のシロも全体としては好調な収穫を得てシーズンを終えました。来年はブラックのポイントに通い詰めて発生時期をよりピンポイントに予想できるよう情報収集しなきゃですね。もちろんイエローの発生時期予想ももう少し詰めていきたいところです。

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