2022.12.29 館山でビーチコーミング納め

2022年最後のビーチコーミングに行ってきました。

 

 

最近はなかなか新しいタカラガイを拾えずにいて、タカラガイ限定で見るとモチベがほんの若干落ちてしまっているのですが、当然貝はタカラガイだけじゃありませんからね。そうやって視野を広げてみると、これまで見向きもしてこなかった貝殻のなんと輝いて見えることか。どの浜に行っても見たことのない貝が出迎えてくれます。ごく普通種でも、地味な貝でも、じっくり観察してみると繊細な彫刻や模様に感動させられ、程度の良いものが拾えれば喜びはひとしおです。そして何より、これまでは貝好きのくせにタカラガイくらいしか同定できていなかったのが、普通種でも少しずつきちんと図鑑で調べて同定して覚えていくことで知識が無限に拡がっていく・・・。

また、これから先、イカが好きな方との軟体類繋がりコラボなんかもあったりで企画案を練ったりもしているのですが、実際にコラボしてみた時に知識不足を露呈してしまうのも嫌だなと。生物としての貝についての基礎的な知識や、貝に限らず他の生き物についての知識もより深めていけたらいいなと思っています。

このようにタカラガイ以外の貝も少しずつ真面目に同定するようになって気になったのが、図鑑やレジェンドな方々のブログに載っている貝はとても状態の良いものばかりであるという点ですね。この辺りはきのこ図鑑と似たようなことが言えますが、単に殻皮を被っただけでも見た目の印象が大きく変わるため、摩耗も加わると普通種でも同定に難儀することが多いのです。今後は備忘録的に同定できた貝の個別記事を書いていこうかと思っていますが、その時は状態の良い写真を使うもしくは引用すると共に、ビーチコーミングで一般的に入手可能な摩耗した貝の写真も載せられればと思っています。

そんなこんなでビーチコーミングの対象が大きく拡がった2022年でした。結婚して回数自体は大きく減ってしまいましたが、これからも永く楽しめそうです。

真面目なお話はその辺にして、拾い納めのお話しというか記録でしたね。今回はAsaさんとの同行です。8時過ぎに階段下で待ち合わせ・・・のはずが、初っ端から計算ミスで遅刻をやらかしてしまいました。結構先行者が入っていましたが・・・。

イササボラ

イササボラの良品!美しい割に意外と拾われていないものです。小さくて見逃されやすいのかな。

 

階段下の収穫(小型)

階段下の収穫(小型): ヤクシマダカラ破片、ナツモモ、アジロダカラ、イササボラ、アシヤガイ、ハイイロヨフバイ

 

階段下の収穫(微小)

階段下の収穫(微小): チャイロキヌタ、ヨフバイ幼貝、ムギガイ

チャイロキヌタ、最小更新。7.8mm・・・ちっちゃいものクラブ更新できるか!?などと一人沸いていましたが、ハードルは想像以上に高かった・・・!そんな僕をよそに、Asaさんはきっちりサバダカラを複数getされていました。さすがですね。

ムシロガイ科幼貝

紫色の小さい貝は殻口の形状からムシロガイ科であろうことくらいしか分かりませんでした。

 

ヒメヨフバイが最も近いですが、模様が全く無いんですよね。

無印のヨフバイも比較検討したかったのですが、普通種中の普通種ということでまともに扱っているブログもあまり見かけなかったので、ふと思い出してこちらをアタック。掲載されているヨフバイの幼層は紫色で模様がほとんどなかったので、まあ当たりでよしでしょう。普通種を調べたい時はやっぱり便利です。

FP下の収穫

FP下の収穫: コモンダカラ幼貝、フトコロガイ、シラタマガイ類

次は久しぶりのFP下へ。相変わらずどこに車を停めればいいのかさっぱり分からなくなってしまったエリアです。貝の打ち上げ量はそこそこ多そうに見えましたが、どうにも良いものは出てくれませんでした。結構時間かけたんですがね。

シメサバの刺身

昼食はシメサバの刺身

 

HS浦の収穫

HS浦の収穫: ナデシコガイ、ナシジダカラ、ネコガイ、コシラタマ、その他シラタマガイ類×38

HS浦も結構人がたくさんいて各々ビーチコーミングをしているようでした。やはり皆いい西風が吹いた連休の初日に出撃するんですね〜。僕はそんな中でも取り残されがちな細かい貝ラインでシラタマガイ類をひらすら集めつつ、そこにワンチャン混じっているかもしれないゴマフダカラを探していました。今回も残念ながら見つけられませんでしたが、ゴマフ狙いにとっては稀に見る打ち上げの良さだったと思います。

S浜の収穫

S浜の収穫: イタヤガイ×2

S浜はタカラガイの収穫が鈍化してから館山に来るたびに通うようになりました。ヒガイやイボボラなど、普段タカラガイを狙いに行くような浜とは全く毛色の異なる貝が拾えるので今回も期待していましたが、今日は不発・・・風向きの問題なのか、貝が流されてしまっていたのか・・・そういえばHS浦も流木などのゴミや大きめの貝がさっぱり消え、一部を除き細かい貝ラインがあるばかりでしたが、同じような状況だったのかもしれません。

S浜がダメだったので、さらっと見終えてI浜へ転戦。風が吹くと生きた貝が打ち上がる上にここもまた他とは異なる貝が・・・って、浜が違えば上がる貝も変わりますねw この浜で本格的に貝を拾うようになったのは最近で経験がまだ浅いので、打ち上げ場所が大きく変わる可能性や目当ての貝が上がりやすい場所がどこなのかといった情報が少ない状態でしたが、そこはAsaさんが補足してくれたおかげで今回の収穫に繋げることができました。

サクラガイ
カバザクラ(桜色タイプ)
I浜の収穫 サクラガイ、カバザクラ(桜色タイプ)

まずはニッコウガイ科の桜色勢。どうやら淡水の影響が強いエリアに多産するようで、実際同じ砂浜の中でも小河川の流入する場所の周辺で特に多くの打ち上げを見ることができました。同定には非常に苦労しました・・・というか多分サクラガイとカバザクラ(桜色タイプ)の区別はきちんとできていないと思いますが、やや小型で輪肋及びピンク色が強く、貝の端の白い2本線が不明瞭もしくは無いものをサクラガイとし、やや大型で淡色、貝の端の白い2本線が比較的明瞭なものをカバザクラとしてみました。しかし、カバザクラの名前の割に樺色のタイプは本当に少ない印象です。

カバザクラ(樺色タイプ)
モモノハナガイ
I浜の収穫 カバザクラ(樺色タイプ)、モモノハナガイ

モモノハナガイはサクラガイの中から2個だけ見つけました。この仲間では最も濃い桜色です。殻頂から2本の白い帯が出ると図鑑やブログに書いてありましたが、この帯は想像以上にコントラストが小さいようで、随分と認識するのに時間がかかってしまいました。

オオモモノハナガイ、ベニガイ破片

I浜の収穫 オオモモノハナガイ、ベニガイ破片

オオモモノハナガイは当初全く区別できていませんでしたが、よくよく仕分けをしていくと唯一殻の厚さや頑丈さが全く異なることに気がつきました。典型的なサクラガイ類の殻の厚さは0.1mm程度で背景が透けており、当然指でつまんだ程度の力でも割れてしまいやすいのですが、オオモモノハナガイとした個体は殻の厚さ0.3mm程度で、強くつまんでも割れる気配ゼロです。これ1枚しかないので単純比較はできませんが、光沢や色合いは他のサクラガイ類に軍配が上がりますね。なんか光沢全然無いしくすんだ色なんですよ・・・w

ベニガイは館山でいつか拾いたいと思っていた貝です。なんか嘴状に長く伸びる二枚貝が好きなようで・・・w S浜やI浜ではそこそこ拾えるような報告があったので気楽に構えていましたが、なかなかどうしてありつくことができていません。今回ようやく破片をgetです。

I浜の収穫(生貝)

I浜の収穫(生貝): マツヤマワスレ、クロスジグルマ、クチベニガイ、カニモリガイ

生きた貝は今回は浜の端のゴミ溜まりに集中していました。ただ干からびたものが多数・・・どうやら打ち上がったの自体はもう少し前の日だったようです。シドロガイを今度こそ割らずにお迎えしたかったのですが・・・w まあ前回腐敗臭を取り切ることができなかったクロスジグルマの、それも間違いなく生ている個体をgetできたのでよしとしましょう。

I浜の収穫(その他)

I浜の収穫(その他): ウラシマガイ、オミナエシダカラ(成貝、亜成貝)、ナシジダカラ幼貝、キサゴ、アズマニシキ?、エマイボタン、ミゾガイ、ハネガイ(元合弁)、ナデシコガイ、チリボタン?、ワニガキ

二枚貝は難しい・・・一応頑張って同定しましたが正直自信はありません。この中だとナデシコガイがバリ好み。鮮やかな赤色に山形模様がいい味を出しています。ワニガキ、幼貝だと・・・細いw ミゾガイ、ハネガイは生時茶色い殻皮を被るようで、その状態で図鑑やブログに載っていることが多いために同定が難航した組です。僕の備忘録には絶対殻皮無しの写真載せるぞ・・・!

エマイボタンに至っては見当さえつかなかったのでtwitterに投げたところ、すその@Susoyotumeさんが教えてくださいました。ありがたや。

新しく認識できた普通種や蓋付標本を得られて充実したビーチコーミング納めになりました。今回も付き合ってくださったAsaさん、ありがとうございました。また行きましょう!

それでは今年も一年お世話になりました(年を越してからの公開になってしまいましたが^^;)。これからも頑張って貝を拾い、きのこを採って食べて、植物観察をして、釣りをしていこうと思いますので、来年もてれさの雑記をどうぞよろしくお願いします。